【ミ三3研究レポート】 研究員S
\2025年4月にフェリシモ福井部誕生/
みなさん、フェリシモに新しい部活ができたこと、ご存じでしたか。まだフェリシモ社内でも半分以下の人にしか知られていない部活なのですが、青森部に続く「福井部」ができました。
研究員Sは福井出身ということもあって入部することになったのですが、部活に入って福井に関わりを持ってみると、地元なのに知らなかったことがたくさんあることに気が付き、意外にも面白いものでした。
フェリシモ福井部は、福井が好き、興味がある、盛りあげたい、応援したい、少しだけ気になると思う人が県内外問わずに部員になれる部活です。
まずは福井でお仕事をしている方とお知り合いになろう!ということで、部活を新設した春に福井で商談会をひらきました。その時に、今回の商品「 mug wan 」のお取り扱いをしていたデザイン会社のTSUGI(ツギ)さんと、味噌を製造販売している米五さんの「越前おみそ汁」に出会いました。
実は米五さんの方は今回が初対面ではなく、研究員Sが小学生の時に課外授業で工場見学にお邪魔させていただいたことがあります。(とってもご近所さん!)
商談会では、様々な事業者様にお取り扱いのある商品をお持ちいただきました。和紙や漆器など福井の誇る伝統技術を活かしたものから、県外から来たデザイナーさんのアイデアやセンスが詰まった新しい商品まで幅広く見せていただき、自分の生まれ育ってきた場所は、昔から守られてきた土壌に新しい風が吹く、とても素敵な環境になっていることを知りました。
そんな素敵な場所だからこそ、フェリシモ福井部での出会いをきっかけに、福井で働く人たちが横のつながりを持って、もっと福井が盛り上がる場所になればいいな!…という研究員Sの想いで、TSUGIさんと米五さんにご協力頂き、今回の商品ができました!
マグカップ + お椀
マグカップとお椀をかけあわせて「mug wan」。マグカップのような使い勝手の良さと、お椀のような佇まいを併せ持つ越前焼の食器です。越前焼らしい、あたたかみを感じる雰囲気はそのままに、急須のような取っ手がついた、コロンと丸いかたちが新しくてかわいい mug wan は、福井県越前市の「豊彩窯」さんでひとつひとつ手作りされています。
豊彩窯さんでは、父と息子の親子2世代で、越前焼の伝統と素材を活かしながらも、現在の志向を取り入れた新しい越前焼を目指して、使ってくれる人に長く愛される器を作っています。父の吉田豊一さんは自然の形を活かしたものづくりをし、息子の吉田雄貴さんが現代の暮らしに視点を合わせたデザインを意識して作陶活動をされています。
TSUGI × 豊彩窯
時代の進みも早く、なにかと慌ただしい現代。
「少し小腹が空いたけれどおみそ汁を作る時間がないから、フリーズドライのおみそ汁をマグカップに入れてパパっと飲んじゃおう。」
そんな生活をされた心当たりはないでしょうか。おみそ汁ではないのですが、研究員Sはコーヒーに凝っていて、豆を挽くところからコーヒーが淹れられるように道具を全部揃えたのに、結局朝に時間がなくてインスタントのコーヒーをお湯に溶かして飲んでいる現状を思い出しました。
いつの間にか、「コーヒーを飲むこと」が目的になっていて、「コーヒーを飲む時間を楽しむこと」を忘れてしまっていたんですね。
自分のために時間を使えていないことにどこかうしろめたさを感じながらも、すぐに生活を変えることはできない。そんな時にちょっとお高いインスタントを選んだり、器にこだわってみるだけでも、本来の時間を楽しむ自分に戻れたような気がします。
「今」の暮らしになじむ越前焼
TSUGIさんがデザインを考えられた mug wan は、様々な形のフリーズドライ商品が器の中にうまく収まり、お湯を入れたらちょうど良い濃さのおみそ汁ができるように設計されています。また口が狭すぎず、カップも深すぎないので忙しい時でもサッと洗いやすいのが特徴です。軽い温め直しであれば、陶器なのに電子レンジを使えることもうれしいポイントですよね。
伝統的な越前焼の風格は残しつつ、現代の暮らしにマッチした設計のmug wanは、「丁寧に暮らしたい」という気持ちと「快適に暮らしたい」という2つの気持ちを、どちらも叶えてくれるような商品です。
カラーは赤・白・黒の3色。お家でも職場でも使いやすい、質素な気品をまとった器です。
鉄分が多いことが特徴の福井の土を使った粘土に、3種類の釉薬をかけて仕上げる、越前焼ならではの風合いをお楽しみくださいね。
永平寺ご用達の味噌の味わい
mug wan にセットしてお届けするのは、米五さんの「越前おみそ汁」。即席のおみそ汁とは思えないほどの食べ応えのある具材と、深みのあるお味噌の味わいがとってもおいしいんです!
米五さんが創業されたのはなんと天保2年!昭和45年からは大本山永平寺の味噌蔵を預かるほど品質や実績に信頼があり、長年多くの人に愛されてきたお味噌屋さんです。今回の商品「越前おみそ汁」シリーズは、永平寺の味噌蔵の味を再現した「蔵みそ」というお味噌が使われています。
福井県にある「みそ楽」という複合施設には、味噌を買えるショップだけでなく、みそ蔵の工場見学や、みそ作り体験ができるほか、味噌を使ったランチが楽しめるカフェなどが併設されており、「人が集まるお味噌屋さん」になっています。
越前焼と同じように、伝統技術・文化の継承だけに注力するのではなく、時代に合わせた形態へと日々変化し続けているんですね。
「ふくい」という場所について
越前焼と福井で作られるお味噌について、なにか共通点はないかと考えていたところ、どちらも多くの水を使って作られるので、そこに高い品質を保つ秘訣があるのではないかと研究員Sは思ったわけです。
そんな折にTSUGIさんが毎年アートディレクションを担当されている「RENEW」という催事が行われていたので、他の福井部員に豊彩窯さんの工房へ直接取材してもらいました。
(本当は研究員Sが取材に行く予定だったけれど、当時体調不良で断念。泣)※RENEWとは、福井県の鯖江市、越前市、越前町で行われる、普段は入れない工場や工房を開放し、ものづくりの現場を見学したり体験したりできる体感型マーケットイベントです。
豊彩窯の吉田雄貴さんにお話を聞いたところ、特に焼き物をするために特別な水(質)を用いているわけではなく、水道から出てくる水を使われているそうです。また土も、福井のそこら中でとれる鉄分の多い土を配合して粘土を作られているのだとか。米五の廣澤さん(営業部長)にも味噌づくりに使用する水について聞いてみたところ、こちらも普通の水道水を使用とのこと。福井の高品質なものづくりには、特別な水質が関係している…!とにらんだ研究員Sの憶測はあっけなくやぶれ散ったのです・・・
しかし待てよ…?気がつけば福井を離れて7年。すっかり今の生活に慣れて忘れかけていたけれど、思い返せば福井での生活ってすごかったんです。
浄水器を付けてない普通の水道からゴクゴク水を飲んでいましたし、スーパーに並ぶ野菜や魚は大きくてハリがあるのが当たり前。四季折々の「におい」みたいなものも感じ取れていて、雪が降るタイミングが肌感覚で分かったほど、自然と隣り合わせで暮らす環境が当たり前でした。
越前焼って、鉄分が豊富に含まれている土を使っているから硬くて丈夫だって聞いたけれど、これって、海(水)、山、空気など、全ての条件が良い形で揃っているから良質な土が作られるということではないでしょうか。さらに、その土から溶け出したミネラル(鉄分)を運ぶ水が、私たちが知らないうちに、食や生活の質をグッと高めてくれていたんだと思うんです。 水の資源が豊富だからこそ、越前和紙のような他の伝統産業も発展しましたし、豊かな土壌がお米を育てて、そのお米が地酒や醤油、味噌といった、福井の食文化を築いてくれました。どれか一つが優れているから良いものができるのではなく、すべてが欠けてはならない要素として機能して、相乗効果を生みだしているのではないかと考えました。研究員Sの憶測が長くなってしまいましたが、きっと福井の職人さんたちが「特別ではなく当たり前だと思っていること」に、福井の魅力がたくさん詰まっているのでしょうね。
一杯の、ほっと時間
福井の土で作られた越前焼の器で、福井の味噌を使って作られたフリーズドライのおみそ汁を飲む。あたたかくておいしい一口で、忙しい中でも豊かな生活を感じられるような、そんなほっとした時間になってほしいなと思います。
【ミ三3研究室 研究員Sより】
知らない土地で生活をしてみたい!と思って福井を飛び出したのですが、この記事を書きながら「実はものすごく福井のことが好きなのでは…?」と自分に気が付かされる研究員S。今年のお正月休みはいつもより長く帰ってみようかな。

